家庭の中にいると、どうしても目の前の「嫌なこと」が目につくことがあります。
たとえば、夫が仕事から帰ってきたとき。
家の中がぐちゃぐちゃだったとします。
その瞬間だけを見たら、
「何この部屋?」
「今日一日、何してたの?」
と思うかもしれません。
でも、その日奥さんは朝からずっと子どもたちのお世話をしていたかもしれない。
ご飯を作って、洗濯をして、子どもの相手をして。
夕方になって下の子がお漏らしをして、上の子もぐずり出して、
やっと片付けようと思ったところで子どもが寝てしまった。
もうクタクタ。
そこに夫が帰ってきて、
「汚なっ。今日何してたん?」
と言われたら。
きっと悲しくなると思うんです。
「そこだけ見ないでよ」
って。
今日一日、私がやってきたことも見てよ。
今、この部屋が散らかっているという一場面だけで、
私の一日全部を決めないでよ。
って思いますよね。
でも、これって夫に対しても同じなのかもしれません。
毎日朝から仕事に行って、一生懸命働いている。
平日は疲れていても仕事に行っている。
でも、土曜日の午後。
ソファでゴロゴロして、そのまま寝てしまった。
そこだけを見て、
「また寝てる」
「ほんま何にもせえへんな」
と言われたら、
夫だって、
「そこだけ見ないでよ」
と思うかもしれません。
私は最近、
家庭の中でとても大切なのは、
「点ではなく、線で見ること」
なんじゃないかなと思っています。
もちろん、嫌な一場面が目に入ることはあります。
夫の態度にイラッとすることもある。
子どもの行動に「また?」と思うこともある。
私自身だってあります。
だから、
イラッとしてはいけない。
嫌だと思ってはいけない。
ということではありません。
でも、そこで一度、
「いやいや、ちょっと待って。もう少し広い視野で見てみよう」
と思えるかどうか。
今はソファで寝ている。
でも、この一週間はどうだった?
今日、子どもは学校を休んだ。
でも、この1ヶ月はどうだった?
今日、妻は余裕がなくてイライラしている。
でも、最近ずっと頑張っていなかった?
そうやって、
目の前の「点」から少しずつ視野を広げて、
その人がこれまで積み重ねてきた「線」を見る。
すると、
同じ一場面でも、見え方が変わることがあります。
そして、
「そういえば、私にもこんな日あるよね」
と思えるかもしれない。
私だって疲れて何もしたくない日がある。
私だって部屋を片付けられない日がある。
私だって余裕がなくて、優しくできないことがある。
私だって失敗する。
そう思えたら、
さっきまで「なんで?」と思っていた相手に、
ほんの少し優しい気持ちになれることがあります。
私は、それも
自分の器が広がっていくということ
なんじゃないかなと思っています。
相手の嫌なところが見えなくなることではありません。
何をされても腹が立たなくなることでもありません。
嫌だった。
腹が立った。
でも、その一場面だけを切り取って、
「この人はいつもこう」
「この人は何にもしてくれない」
「この子はどうせできない」
と、その人全部を決めない。
「これは、この人の長い人生の中の一場面だよね」
と、少し視野を広げてみる。
これは、子育ても同じだと思っています。
今日学校を休んだからといって、
この子の人生が決まるわけではない。
今日テストで悪い点を取ったからといって、
この子の未来が決まるわけではない。
挑戦して失敗したとしても、
その経験が数年後にどうつながるかなんて、今は分からない。
自分自身に対しても同じです。
今日また怒ってしまった。
今日は何もできなかった。
またうまくできなかった。
でも、
今日という一点だけで「私は全然変わっていない」と決めなくていい。
1ヶ月前はどうだった?
半年前は?
1年前は?
線で見てみたら、
ちゃんと変わっている自分が見えることがあります。
家庭の中では毎日、いろんなことが起こります。
うまくいく日もあれば、
うまくいかない日もある。
みんなが優しい日もあれば、
みんな余裕がない日もある。
いつも完璧な夫も、
いつも完璧な妻も、
いつも完璧な子どももいません。
だから私は、
目の前の一場面だけで、相手を決めないこと。
これも「闘わない家庭」をつくっていくために、
とても大切なことだと思っています。
夫が先にやってくれるのを待たなくてもいい。
子どもが変わってくれるのを待たなくてもいい。
気づいた人から、
「ちょっと待って。もう少し広く見てみよう」
とやってみる。
点ではなく、線で見る。
今だけではなく、長い目で見る。
そして、
「この人にも、いろんな日があるよね」
と思える余白を少しずつ増やしていく。
その余白が増えると、
相手を見る目が少し優しくなって、
かける言葉が変わって、
家庭に流れる空気も変わっていく。
私は、
闘わない家庭って、誰かを完璧にすることでつくるものではない
と思っています。
一つの出来事だけでジャッジせず、
その人のこれまでや、その人の全体を見る。
そして、
「私にもこんなときあるよね」
と、お互いの不完全さに少し優しくなれること。
そんな小さな積み重ねから、
家庭は少しずつ温かくなっていくんじゃないかなと思っています。
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