「子どもを信じましょう」
不登校の子育てをしていた頃、私は何度もこの言葉を聞きました。
学校に行かなくても大丈夫。
ゲームばかりしていても、
見守りましょう。
子どもには自分で生きていく力があるから、
信じてあげましょう。
頭では分かるんです。
でも、当時の私は思っていました。
「信じるって、何も言わずに全部許すことなの?」
朝になっても起きない。
学校にも行かない。
一日中ゲームをしている。
本当はものすごく心配なのに、
「信じなきゃ」
「口出ししちゃダメ」
と、自分の気持ちを押し殺して黙っている。
でも心の中では、
「いつまでゲームしてるの?」
「このままで本当に大丈夫なの?」
「少しくらい勉強したら?」
って、ずっと思っている。
そして我慢できなくなって、ある日爆発する。
私はそれを何度も繰り返しました。
だから長い間、
「子どもを信じる」ということが、
よく分からなかったんです。
でも、今なら分かります。
子どもを信じるって、
何も言わないことでも、
何でも許すことでもありません。
大切だったのは、
「私は今、この子のために言おうとしているのか。
それとも、私の不安をなくしたくて、この子を動かそうとしているのか」
そこを見ることでした。
学校へ行ってほしい。
昼夜逆転を直してほしい。
ゲームをやめてほしい。
勉強してほしい。
もちろん、親だから心配します。
でも私は、いつの間にか、
「この子が変わってくれたら、私は安心できる」
になっていました。
だから、息子を何とかしようとする。
言うことを聞かなければ、もっと言う。
それでも変わらなければ、さらに不安になる。
そしてまた、息子を動かそうとする。
そうやって、家庭の中に小さな闘いがどんどん増えていきました。
私が変わり始めたのは、
「どうしたら息子を変えられる?」
ではなく、
「私は、何をそんなに怖がっているんだろう?」
と、自分に矢印を向けるようになってからでした。
このまま学校へ行かなかったらどうしよう。
将来働けなかったらどうしよう。
この子の人生がうまくいかなかったらどうしよう。
そして、そのもっと奥には、
「私の育て方が悪かったと思われるんじゃないか」
「私がちゃんとした母親じゃなかったから、
この子がこうなったんじゃないか」
そんな自分自身の怖さもありました。
それに気づいた時、
息子の問題だと思っていたことの中に、
私自身の不安がたくさん混ざっていたことが分かりました。
もちろん、本当に大切なことは伝えたらいい。
親として譲れないことだってある。
心配することだって悪くない。
でも、
「これは本当に、この子に必要なこと?」
「それとも、私が安心したくて言っている?」
そうやって一つずつ考えるようになると、
今まで「絶対に言わなきゃ」と思っていたことの中に、
「あれ?これは、この子に任せてもいいのかもしれない」
と思えるものが少しずつ増えていきました。
子どもを信じるって、
何も言わないことでも、何でも許すことでもない。
「この子の人生を、私の不安をなくすためにコントロールしなくていい」
そう思えることなのかもしれません。
そして、
「この子には、この子の人生を生きていく力がある」
そうやって少しずつ、息子の力を信じられるようになった時、
私自身もずいぶん楽になりました。
何より、
子どもとの小さな闘いが、少しずつ減っていきました。
今、小さなお子さんを育てているお母さんにも、
私はこのことを知っていてほしいと思っています。
正しい声かけができることよりも、
何でも上手に対応できることよりも、
この子には、この子の人生を歩いていく力がある。
そう信じられる自分でいること。
私はそれが、子育てのとても大切な土台だと思っています。
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