私はずっと、自分の気持ちを正直に言うことが、
本音を伝えることだと思っていました。
「そんな言い方やめて」
「もっと私の気持ちを分かって」
「冗談でも傷つくから言わないで」
確かに、これも嘘ではありません。
でも、相手には注意や批判として届いてしまい、
「また怒られた」「何も言えない」
と心を閉ざされることがありました。
伝えても伝えても分かってもらえない。
だから、もっと強く、もっと詳しく説明しなければと思っていました。
でも、私自身も分かっていなかったのです。
怒りの奥に、本当はどんな気持ちが隠れているのかを。
「いつか大切にされなくなるのが怖い」
「年齢を重ねても、あなたの隣で大切にされたい」
「責めたいのではなく、安心したい」
これが、私の本音でした。
本音を伝えるとは、
思ったことをすべてぶつけることではありません。
相手の間違いを説明して、分からせることでもありません。
怒りや要求の奥にある、自分の怖さや寂しさ、
そして本当の願いを見つけて、言葉にすることなのだと思います。
「あなたはどうして分かってくれないの」ではなく、
「私は、あなたに大切にされなくなるのが怖かった」
そう伝えたとき、相手にも初めて、
私が何に傷つき、何を求めていたのかが届きます。
もちろん、
本音を話せば必ず相手が思いどおりに変わるわけではありません。
それでも、自分の気持ちを偽らず、
相手を攻撃しない形で差し出すことはできます。
本音は、相手を動かすための武器ではありません。
二人の心をつなぎ直すための、橋なのだと思います。
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